食物繊維とは、食べ物の中に含まれている、小腸で消化・吸収することのできない物質のことです。体の中で良い働きをすることが注目され、第6の栄養素ともいわれています。
みなさんがご存知の働きとして、多くの人に知られているのが、お通じを整えることでしょう。
お通じは女性に多い悩みの一つですが、食物繊維を適切に摂ることで、お通じを整えることが期待できます。
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Toggle食物繊維の種類
食物繊維の中で大きく2種類水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類!!
「繊維」という名前から、糸状の、いわゆる繊維状のものを想像される方も多いのではないでしょうか?食物繊維には、繊維状のものだけではなく、水状のものや、ネバネバしたものもあります。
それらの違いは、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」を判断する一つの基準です。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、便のかさを増やす役割を持っています。腸の運動を活発にし、お通じを整えてくれます。
また、水溶性食物繊維は、腸内環境を整えることや食後血糖値の上昇をおだやかにする働きがあります。
それぞれの食物繊維の中にも様々な種類があり、不溶性食物繊維には、セルロースやヘルセミロース、リグニン、キチン、キトサンなどがあります。
それらの不溶性食物繊維は、いもなどの穀類や豆類、野菜、甲殻類の殻、きのこなどに含まれています。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維には、ペクチンやグルコマンナン、アルギン酸、アガロース・アガロペクチン・カラギーナン・ポリデキストロースなどがあります。
それらの水溶性食物繊維は、わかめなどの海藻類、果物類や、ねばねばした野菜に多く含まれます。
また、水溶性食物繊維の中では、粘度が高いものと低いものがあります。
粘度が高いものには、ペクチン、グアーガム、グルコマンナンなどがあり、粘度が低いものには、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリンなどが挙げられます。
どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。
1日の食べる目安は
成人では、食物繊維を一日24g以上、できれば1,000㎉あたり14g以上摂取するのが理想とされています。食事摂取基準(2020年版)では、目標量として男性18~64歳は一日に21g以上、65歳以上は20g以上、女性18~64歳は一日に18g以上、65歳以上は17g以上と設定されています。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は2:1で摂取するのが理想といわれています。
食物繊維の摂り方については、不溶性と水溶性をバランスよく摂ることが重要です。なぜなら、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維はその働きに違いがあるからです。
不溶性食物繊維は便のかさを増やして老廃物の排出を促しますが、摂りすぎると腸に停滞しお通じを悪化させることもあります。水溶性食物繊維には腸内の善玉菌を増やしたり、食後血糖値の上昇をおだやかにする働きがあります。
これらの働きを十分に発揮するために、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の理想的なバランスは不溶性:水溶性が2:1とご紹介しましたが、食物繊維の摂取量の平均からみると、水溶性食物繊維が特に不足しています。
水溶性食物繊維が豊富に含まれる食品は少ないため、普段の食生活の中では意識的に水溶性食物繊維を摂取する必要があります。
水溶性食物繊維の多い身近な食材としては、大麦(100g当たり4.3g)、納豆(1パック50gの場合、1.2g)、キウイ(1個100gの場合、0.6g)があります。手軽に取り入れられる水溶性食物繊維の多い食材を普段の食生活にプラスして食物繊維のバランスを整えていきましょう。
不足すると
食物繊維が不足すると、腸内環境の悪化によって便秘になりやすくなります。その結果、痔になったり、大腸癌のリスクが高まったりします。また、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高くなります。そのほかにも、食物繊維の多い食品は、低カロリーの上に噛み応えもあり、食べた時の満足感も高いため、食物繊維の多い食事をとることで肥満も防ぐことができます。
通常の食事では食物繊維の過剰摂取の心配はなく、むしろ、現在の日本人は、食物繊維が不足ぎみなので、意識してとる必要があります。しかし、サプリメントなどの健康食品を利用する際は、飲みすぎるとおなかが緩くなったり、他の栄養素の吸収を妨げたりする可能性があるため、注意が必要です。
食物繊維の多く含む食品
食物繊維は、野菜類、穀類、豆類、きのこ類、いも及びでん粉類に多く含まれています。食品の中には、水溶性と不溶性両方の食物繊維を含む食品もあります。特に納豆は水溶性と不溶性の食物繊維がバランスよく含まれている食品です。食物繊維は種類によって生理作用が違いますので、不溶性・水溶性のどちらか一方を摂取するのではなく、さまざまな食品を組み合わせて両方をバランスよく摂取することが大切です。
| 食品名 | 水溶性食物繊維量(g) | 不溶性食物繊維量(g) | 食物繊維総量(g) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
|---|---|---|---|---|
| 切干しだいこん 乾 | 5.2 | 16.1 | 21.3 | 1食分:10g |
| しそ 葉 生 | 0.8 | 6.5 | 7.3 | 10枚:7g |
| モロヘイヤ 茎葉 生 | 1.3 | 4.6 | 5.9 | 1束:100g |
| ごぼう 根 生 | 2.3 | 3.4 | 5.7 | 1本:180g |
| ブロッコリー 花序 生 | 0.9 | 4.3 | 5.1 | 1株:250g |
| だいこん 葉 生 | 0.8 | 3.2 | 4.0 | 1本分(根中1本800g):150g |
| あさつき 葉 生 | 0.7 | 2.6 | 3.3 | 1わ:25g |
| 日本かぼちゃ 果実 生 | 0.7 | 2.1 | 2.8 | 1個:1~1.5kg |
| ほうれんそう 葉 通年平均 生 | 0.7 | 2.1 | 2.8 | 1株:20g |
| サニーレタス 葉 生 | 0.6 | 1.4 | 2.0 | 1枚:30g |
穀類に含まれる食物繊維量
| 食品名 | 水溶性食物繊維量(g) | 不溶性食物繊維量(g) | 食物繊維総量(g) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
|---|---|---|---|---|
| ライ麦パン | 2.0 | 3.6 | 5.6 | 1枚(6枚切り):60g |
| 角型食パン | 0.4 | 1.9 | 2.2 | 1枚(6枚切り):60g |
| 水稲めし 発芽玄米 | 0.2 | 1.6 | 1.8 | 小盛り1杯:100g |
| 蒸し中華めん | 0.7 | 1.1 | 1.7 | 1袋:150g |
| マカロニ・スパゲッティ ゆで | 0.5 | 1.2 | 1.7 | 乾1人分:80g |
| 水稲めし 精白米 うるち米 | 0.0 | 0.3 | 0.3 | 小盛り1杯:100g |
きのこ類に含まれる食物繊維量
| 食品名 | 水溶性食物繊維量(g) | 不溶性食物繊維量(g) | 食物繊維総量(g) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
|---|---|---|---|---|
| きくらげ 乾 | 0.0 | 57.4 | 57.4 | 乾10個:5g |
| しいたけ 乾しいたけ 乾 | 2.7 | 44.0 | 46.7 | 大1個:5g |
| しいたけ 生しいたけ 菌床栽培 生 | 0.4 | 4.1 | 4.6 | 1枚:10~30g |
| えのきたけ 生 | 0.4 | 3.5 | 3.9 | 1袋:100g |
| まいたけ 生 | 0.3 | 3.2 | 3.5 | 1パック:100g |
| ぶなしめじ 生 | 0.3 | 3.2 | 3.5 | 1パック:100g |
いも及びでん粉類に含まれる食物繊維量
| 食品名 | 水溶性食物繊維量(g) | 不溶性食物繊維量(g) | 食物繊維総量(g) | 食品の目安重量(廃棄部分を含む)(単位:重量) |
|---|---|---|---|---|
| はるさめ 緑豆はるさめ 乾 | Tr※ | 4.1 | 4.1 | 1食分:15g |
| こんにゃく 板こんにゃく 生いもこんにゃく | Tr※ | 3.0 | 3.0 | 1枚:170~200g |
| さつまいも 塊根 皮つき 生 | 0.9 | 1.8 | 2.8 | 中1本:200~250g |
| さといも 球茎 生 | 0.8 | 1.5 | 2.3 | 1個:50g |
食物繊維で腸内環境を上向きに
食物繊維は腸内環境を整える作用があります。食物繊維が発酵すると腸内が弱酸性になり、善玉菌がすみやすくなります。
特に、水溶性食物繊維は善玉菌のエサになるだけでなく、善玉菌を増やしてくれます。善玉菌には消化・吸収、免疫などをサポートする働きがあり、健康維持のために大きく関わります。
近年では、飲酒や偏った食生活、睡眠不足、ストレスにより、腸内細菌のバランスを崩しやすい人が多くなっています。食物繊維は5大栄養素ではありませんが、体の健康に深く関係しており、腸内環境を整え、お通じよくする上で欠かせない成分です。
規則正しい生活をするとともに、バランスの良い食事と食物繊維を積極的に摂取することを心掛け、腸内環境を改善していきましょう。
ただし!とり過ぎ注意!!
便秘を予防・改善し、腸内環境を整えるのに有効として知られる食物繊維ですが、便や水分がたまっておなかのハリがある人には逆効果になってしまいます。このタイプの人は、食物繊維のうち特に便のかさを増やす「不溶性食物繊維」を摂り過ぎると、腸内の便の量がどんどん増え、おなかがさらに張って苦しくなったり、腹痛や胸やけが生じたりしてしまいます。
一方、コロコロ便の人には、食物繊維が適しています。特に、水分を引き込んで便を軟らかくする働きがある「水溶性食物繊維」を積極的に摂るとよいでしょう。いずれのタイプも、食物繊維は不溶性と水溶性を合わせて1日20グラムを目安に、バランスよく摂るようにしましょう。
食物繊維を目標値よりも多くとりすぎても、身体に不調をもたらすことがあります。
その代表的な症状が、消化器官の不調です。
食物繊維を摂ると、おならが出やすくなることがあります。
食物繊維が体内で消化・吸収される過程では、少なからずガスが発生するためです。
食物繊維の摂取量が多いほど、発生するガスの量も増えます。
つまり食物繊維をたくさん食べると、そのぶんおならも増えやすいのです。
食物繊維が便秘を招く点も、おならが増える原因です。
便秘とは、便が腸内にとどまっている状態です。
腸内にとどまった便は、悪臭ガスを発生させます。
つまり、くさいおならが増えるわけです。
なお、おならが増えたとしても、食物繊維の摂取量をゼロにするのはおすすめできません。
食物繊維には腸内環境を整える効果があるためです。
もしおならが増えたと感じる場合は、食物繊維の量をすこしだけ減らすなどして、調節しましょう。
便秘気味の方は便秘を解消することも大切です。
便秘の解消には、便を軟らかくする水溶性食物繊維の摂取がおすすめです。
